第81章 良い知らせと悪い知らせ

東條未煙は病室に座り、手にタバコを持っていた。看護師は眉をひそめたが、何も言う勇気がなく、ただ窓を少し開けて、そのまま病室を出て行った。

ベッドに横たわる霧島咲姫は、自分に向けられた憎しみの視線を感じ、ゆっくりと目を開けた。

「お姉さん」

その声色には喜び、嫉妬、そして、他人の不幸を喜ぶ気持ちが混ざっていた。

東條未煙は、彼女をこのまま死なせるのは簡単すぎると思った。このように徹底的に彼女を苦しめ、最初から神城家に嫁ぐべきではなかったこと、最初から自分と争うべきではなかったことを思い知らせたかった。

東條未煙を見た霧島咲姫は最初驚いたが、周りが病室だと気づき、突然何かを悟ったようだった。

「いい知らせと、悪い知らせがあるわ」

霧島咲姫は彼女のタバコの匂いで少し頭痛がしたが、眉をひそめただけで何も言わなかった。

「いい知らせは、煌が今も無事に神城家にいるってこと」東條未煙は椅子を引き寄せ、そこに座った。

確かに、良い気分は女性を輝かせる。この一週間足らずの間に、東條未煙の顔色は剥いた卵のように、特に洗練されて見えた。

二人を比べると、霧島咲姫はますます憔悴しきっているように見えた。

霧島咲姫は拳を握りしめた。悪い知らせは何だろう。

「悪い知らせは、そのうち煌は私が面倒を見ることになるってこと」彼女はゆっくりと低い声で耳元に囁いた。

霧島咲姫の手が明らかに震えた。

——煌が神城家であなたに預けられても、あなたは何もできないわ。

そう、彼女が煌に手を出せば、神城連真は絶対に黙っていない。彼女は恐れるだろう、煌は安全だ。

霧島咲姫は自分を落ち着かせようとしたが、自分の心の奥底が震えていることを感じていた。彼女は無理やり変なことを考えないようにした。

東條未煙はにやにやと彼女を観察した。霧島咲姫は天の寵児だった。生まれた時から霧島家のお爺さまの一番のお気に入りの孫娘で、神城家との縁組みもあり、後には神城家の大爺様の寵愛も受けていた。

しかし、すべてが終わりを迎えようとしていた。

彼女がいるからこそ、自分は霧島咲姫のすべてを奪いに来たのだ。