第136章 波に乗せて

神城連真は病室のドアから聞こえてきた物音に気づき、すぐに視線をそちらに向けた。彼の目には少し期待の色が浮かんでいたが、ドアに現れたのが神城家の大爺様と神城煌だと分かると、何かが足りないような気持ちが一瞬心をよぎったが、すぐに隠された。

「そんなことないよ、ただ君たちがこんなに早く来るとは思わなかっただけさ」

神城連真は二人に淡く微笑みかけた。彼の様子は確かに以前よりずっと良くなっていたが、大きな隈が目の下にあるのを見て、神城家の大爺様は内心喜んでいた。

「どうした?昨夜はよく眠れなかったのか?」

神城家の大爺様の目にはからかうような色が浮かび、神城連真はどう対応していいか分からなくなった。神城家の中で、自分を抑えられるのは、おそらく大爺様だけだろう。

「まあまあ、昨日はあまりよく眠れなかったけど、大したことじゃない」