神城連真が駆けつけた時、霧島咲姫は椅子に座ったまま、前方を見つめて動かなかった。まるで魂のない体のようだった。
彼の心は震え、体を硬くしながら前に進み、彼女を抱きしめ、低い声で慰めた。「咲姫、家に帰ろう」
しかし目の前の女性は当然、彼に応えなかった。
彼は本当に理解していなかった。あれらのものが彼女にとってどれほど重要だったのか。少なくとも朝霧翔真に問い詰められるまで、神城連真はあまり分かっていなかったが、今になってようやく理解できたようだった。
それはこの期間、霧島咲姫がずっと頼りにしていた光だった。
彼女はずっと話せるようになりたかった、この世界に美しく向き合いたかった、しかしこの火災によって全てが台無しになった。
神城家に戻ると、霧島咲姫は自分の部屋に閉じこもり、出てこなくなった。神城連真はタバコを一本また一本と吸い続けた。報道機関の問題を解決すれば良くなると思っていたのに、こんなことが起きるとは。