霧島咲姫は神城煌に軽く白い目を向けながら、素早く部屋の洗面所に入り、真っ赤に染まった自分の頬を見つめた。咲姫は一瞬ぼんやりとして、先ほど自分がどうして思わず感情を抑えられなくなったのか、自分でもわからなかった。
「咲姫、私最近引っ越すでしょ。でも荷物が本当に多すぎて、一人でずっと片付けてるけどなかなか終わらないの。手伝いに来てくれない?」
翌日、霧島咲姫は立花心蕾から電話を受けた。親友として咲姫はもちろん迷わず承諾した。
「ちょうど最近暇だから、午後に行くわ」
神城煌を菅田ママに預けて、霧島咲姫は安心して、簡単に身支度を整えると、立花心蕾の家へと向かった。
「何なの、これ」
霧島咲姫が車で出かけ、まだ道のりの半分ほどのところで、ある交差点で一台の車に横から行く手を阻まれた。