「翔真、あなたは頭がおかしくなったの?自分の好きな女性、あなたの婚約者が他の男と一緒にいるのに、あなたの心は何も感じないの?」
金田敏子は目を見開き、その眼差しには驚きだけでなく、少し慌てた様子も見えた。
自分が手塩にかけて育てた息子が、どうしてこんな風になってしまったのか、まったく理解できなかった。
朝霧翔真は聞いているうちに、目に少し苛立ちの色が浮かんだ。
「お母さん、もう言わないでくれる?この件については既に話したでしょう。早く帰ってよ。この問題は君が関わる必要はないんだ。僕と咲姫で解決できるから。それに今は会社の前だよ。人に見られたらまずいじゃないか」
金田敏子はそれを聞いて一瞬言葉を失った。確かに息子がそこまで言うなら、彼女も年長者として何も言えなくなった。