最終的に霧島咲姫は朝霧翔真に自分を会社まで送ってもらうことに決めた。道中で昨日のことについてきちんと話し合えるからだ。
「翔真、今日は会社まで送ってもらえる?いくつか直接話しておきたいことがあるの。心の中に抱えているとつらいから、話せばすっきりするわ」
そう言って、彼女は無意識に目の前の二人の男性を見上げた。
「わかった。それなら、先に車に乗って」朝霧翔真は少し間を置いて言った。
こうして、霧島咲姫はためらうことなく彼の車に乗り込み、無意識のうちに神城連真を一瞥したが、何も言わなかった。
神城連真はもちろん余計なことは言わなかった。彼は二人がきっと何かを話し合う必要があり、おそらく自分のことも関係しているのだろうと理解していたので、何も尋ねなかった。
そうして、朝霧翔真は車を発進させた。
道中、霧島咲姫はどう切り出せばいいか考え続けていた。この問題は重大で、二人はすでに婚約していたが、今の彼女は進退窮まっていた。
二人とも黙ったままで、車内の雰囲気は非常に気まずく、すぐに会社に到着した。
朝霧翔真はちょっと間を置いて言った。「こうしよう。君はまず事務所に戻って、僕はまだ処理しなければならないことがあるから。何かあったら直接電話してくれればいい」
そう言って彼が発進しようとしたとき、思いがけず呼び止められた。
「待って、聞きたいことがあるの。きちんと話し合いたいから、まず私のオフィスに来て。他のことは後でいいから…」
霧島咲姫は淡々と言った。そう言うと、彼女はすぐにオフィスへと向かった。霧島咲姫の心の中では実際には不安があったが、この件は話さなければならないし、彼に説明する必要があることを知っていた。
こうして、朝霧翔真は彼女の後に続いた。
霧島咲姫はゆっくりと椅子に座り、横から別の椅子を引き寄せて淡々と言った。「そこに座って」
朝霧翔真は一瞬顔を上げる勇気がなかった。彼の心の中ではある程度予想がついていた。この女性がこれから神城連真のことについて話すのは間違いないと思っていた。実際、朝霧翔真はこういった話題を非常に避けたがっていたが、ここまで来てしまった以上、向き合わざるを得なかった。