神城連真は彼女の手からお酒を取り、笑顔で言った。「そうかな?私はそう思わないけど、少なくともあなたは素晴らしいよ」
彼が目をつけた女性は、やはり素晴らしい。
長い年月が経ったね、咲姫。
何年もあなたを探し続けて、ようやく私のそばに戻ってきた。
霧島咲姫は眉をしかめ、目の前の男性を見つめた。彼の視線には何か深い思いがあるように感じたが、それを深く探ろうとはせず、立ち上がって離れようとした。
「では神城社長はここにいてください。私は別の場所に行きます」
これこそが彼女が来た本当の目的だった。
彼女の目に鋭い光が宿った。名流たちとより早く交流を持つことは、上流社会に入り込むための大きな利点だった。
しかし、なぜ彼らが自分を受け入れるのか。もちろん、今日来るときには特別な看板を掲げていた。
神城連真をエスコート役に持つことで、自分は一言も言う必要がなかった。来たい人は、すぐに近づいてきた。
目の前の空色のレースドレスを着た女性がスカートを揺らしながら、笑顔で言った。「リサさん、お噂はかねがね伺っております」
霧島咲姫が顔を上げると、菅田家のお嬢様だった。正確に言えば、興栄グループとも取引があったが、いつも社長が出向いていたため、彼女とは面識がなかった。
しかし今回の出会いで、霧島咲姫はこの女性が非常に気品があると感じた。
特に彼女の隣に立つ男性と共に、この場では珍しい才色兼備のカップルで、家柄も非常に釣り合っていた。
噂によれば幼なじみで、最終的に数年前から交際しているという。
羨ましくないと言えば嘘になる。
霧島咲姫は数年前の自分の境遇を思い出し、急に食欲が失せた。
「リサさん、中に行きませんか?パーティーが始まると、この辺りはスタッフでいっぱいになりますから」菅田さんが熱心に誘い、霧島咲姫はこの友人を作ることに喜んで頷き、彼女について行った。
しかし行く道は個室に向かうようには見えなかった。
霧島咲姫は眉をしかめ、目の前の女性を見た。悪い人には見えないが。
部屋のドアが開くと、なんと神城淵司がいた。
霧島咲姫は眉を寄せた。神城家に戻ってからずっと神城淵司に会っていなかったので、国内にいないと思っていたが、まさかここで会うとは。
今回自分を探したのは、何のためだろう?
「咲姫」