第317章 犯人

霧島咲姫は顔を背け、先ほどの涙を拭いた。

煌ももちろん、今回の二人の喧嘩が普通のものではないことを知っていた。今回は何かが起きたに違いない、そうでなければこんなことにはならないはずだ。

霧島咲姫は振り返って煌の手を取った。彼女は子供を見ると本当に心が痛んだ。まだこんなに小さいのに、こんなに多くの苦しみを味わわせてしまったなんて。彼女は子供から離れたくなかった。

突然、彼女は煌の体を向き直させた。

煌は呆然としていた。彼はまばたきをして、目が真っ赤に腫れた母親を見つめたが何も言わなかった。

「煌、ママがとても真剣な質問をするから、よく考えて答えてね、いい?」

煌はぼんやりと霧島咲姫を見つめ、頷いただけで何も言わなかった。

霧島咲姫は気持ちを整え直し、煌を見た。

「もし今、ママとパパのどちらかを選ばなければならないとしたら、正直に言って、誰を選ぶ?」