第331章 新しい家族を作る

「先ほど弁護士に相談したところ、親権を得るためには、自分自身の経済力が重要な参考条件になるとのことだ。この点では、君は間違いなく神城連真に負けている。だから、もう一つの方法がある。もし君自身が完全な家庭を持ち、さらに小さな子供自身も君と一緒にいたいと思っているなら、君の勝算はずっと高くなるだろう」と朝霧翔真は忍耐強く説明した。

朝霧翔真には実は私心があった。彼は霧島咲姫と法的に認められた夫婦関係を築きたいと思っていた。少なくともそうすれば、子供の親権が取れるかどうかに関わらず、霧島咲姫は完全に彼一人のものになるのだ。

霧島咲姫はためらいを見せた。「完全な家庭って、私には煌しかいないわ。これは私にとってあまりにも難しすぎる!」

朝霧翔真は、この娘が重要な時に何てお馬鹿なんだろうと思った。「バカな子、僕は君と芝居をして、結婚証明書を取ることに何の問題もないよ。この件は実行するのは難しくない!ただ、煌の方の説得は、君が直接行った方がいいだろうね」と朝霧翔真は続けた。

霧島咲姫の瞳孔には驚きが満ちていた。彼女は朝霧翔真が自分にどれほど優しいかをずっと知っていた。自分はまだ子供を抱えた身で、どうして朝霧翔真に見合うだろうか、また、どうして朝霧翔真の幸せを邪魔できるだろうか!

「でも、あなた自身の幸せは?これじゃあなたを害することになるわ」と彼女は直接自分の懸念を述べた。

「長年一人でいることに慣れているよ。バカな子、今の急務は煌の親権を取り戻すことだろう!神城連真のような冷酷な人が、結婚した後も煌を大切にしてくれるかどうか、誰にわかるだろうか!」と朝霧翔真は意図的に彼女に暗示した。

彼女は神城連真がどれほど冷酷でも、虎でさえ自分の子を食べないように、彼の煌への真心は自分でも知っていると確信していた。ただ、東條甘音の方は、彼女には何とも言えなかった。

二人はこの方法を黙認した。

霧島咲姫は足の不自由な朝霧翔真を朝霧家まで送り届けた後、自分は早めに神城煌の学校に行って彼を待った。

やっとのことで神城煌の下校時間になった。

挨拶する暇もなく、霧島咲姫は神城煌を直接車に乗せた。

今日神城連真に会ったばかりだから、きっと簡単には自分の息子に会わせてくれないだろうと思ったからだ。