第332章 神城氏から出ていけ

神城煌は顔色が青ざめていた。神城連真は彼を東條甘音の腕から奪い取り、声に怒りを含ませて言った。「息子がどうしたんだ?」

東條甘音は彼に目配せをした。神城連真はすぐに理解したが、霧島咲姫はこの時、非常に心配していた。

東條甘音は答えた。「煌くんがジップラインに乗っていた時、終わりかけた頃に、機械が突然激しく揺れたの。小さな体では安全ベルトが外れてしまって、そのまま地面に落ちてしまったの」

「なぜ病院に連れて行かなかったの?」霧島咲姫は問い詰めた。

「煌くんは意識を失う前に、何度も『パパとママはもう僕を捨てて、それぞれ新しい家庭を作るんだ』と言って、どうしても病院に行きたがらなかったの」東條甘音は涙ながらに話し、霧島咲姫は心を動かされた。

自分が彼女に言った言葉が息子にこれほどの衝撃を与えたとは思わず、後悔の念に駆られた。

神城連真は息子を抱き上げ、そのまま神城家へ戻った。

家庭医はすでに大広間で待機しており、神城家の大爺様はこの時、客間で怒りをぶちまけていた。

「お前たちは私の大切なひ孫をどうしてくれるんだ。まだ数歳の子供だぞ。お前たちはもう何十歳だ。どう騒ごうと構わん、どんな家庭を作ろうと構わん。煌は誰にもついていかん。この老いぼれでも彼を育てられる!お前たちが心配する必要はない!」神城家の大爺様は神城連真と霧島咲姫を叱責した。

大爺様は二人にとても失望していた。

来る途中、神城家の大爺様は最近の二人の状況を聞いていた。自分が神城グループから手を引いたら、まさか二人によってこんなにめちゃくちゃにされるとは。

霧島咲姫はまだ自責の念に駆られていた。「お爺様、申し訳ありません。私が悪いんです。煌にあんなことを言うべきではなかった。私はちゃんと神城家に残って、煌の面倒を見ます」

東條甘音はこれが他人の家庭の問題だと感じ、自分がここにいる立場ではないと思い、言い訳をして立ち去った。

神城煌が目を覚ますと、パパとママに会いたいとせがんだ。

この時、神城連真と霧島咲姫はベッドの傍らで見守っていた。「煌、目が覚めたのね!」霧島咲姫は喜びを隠せなかった。

「ママ、パパ、もう煌を追い詰めないで。煌と一緒にいてくれない?煌はこれからちゃんと良い子にするから、迷惑かけないから!僕を置いていかないで、お願い」神城煌の目には涙が溜まっていた。