彼は仕方なく腹立たしく立ち去り、別の方法を考えることにした。
朝霧翔真はビジネスの世界でも非常に優れた手腕を持っており、わずか数言で取締役たちを説得し、自分の両足が回復する見込みがあることを説明した。霧島咲姫との結婚という後ろ盾もあり、株主たちはすぐに彼を朝霧グループの社長の座に復帰させた。
朝霧翔真は会社を直ぐに離れることはせず、広報チームを招集し、すぐに発表を出して自分と霧島咲姫が間もなく結婚することを公表した。
神城連真と東條甘音の話題が落ち着いたところで、このニュースが出ると、多くの人々が以前の出来事を再び取り上げて騒ぎ立てた。
中には霧島咲姫の手腕を称え、神城氏の社長を弄んだ後、今度は朝霧氏という高枝に這い上がったと言う者もいた。
霧島咲姫は最近、メディアの前に頻繁に姿を現し、多くのファンも獲得していた。
ファンたちは彼女を擁護し、不平を鳴らし、彼女自身が経営する会社の情報を投稿して、アンチファンと激しく言い争っていた。
朝霧翔真はこのような事態の展開を見て、非常に満足していた。
朝霧グループとの縁組のおかげで、霧島咲姫の会社の最近の注文も増えていた。
彼女は最近ますます忙しくなっていた。
やっと空いた日を見つけて、朝霧翔真は彼女をウェディングドレスの試着に連れて行った。
霧島咲姫もこの機会にゆっくりリラックスしたいと思っていた。
東條甘音はもう見ていられなくなり、神城連真がかつて知っていた決断力のある男ではなくなったように感じていた。
「ねえ、あなたの奥さんは他の男と逃げたのに、まだ仕事に集中できるの?」東條甘音は非難した。
神城連真は彼女に答えなかった。
東條甘音は本当に歯がゆい思いだった。
そのとき、東條甘音は二人がウェディングドレスを試着している写真を神城連真の携帯に送った。
「私は近くにいるわ、来るかどうかはあなた次第よ!」東條甘音はこのメッセージを送った後、携帯を投げつけたくなるほど怒っていた。
この神城連真の戦闘力は本当に頼りにならない、自分がもう一度彼を助けてあげよう。
霧島咲姫と朝霧翔真はウェディングドレスショップに入り、目の前に広がる華やかなドレスの数々に目を奪われた。