神城連真は普段神城煌とあまり会話をしないが、この時はとても積極的で、煌に尋ねた。「息子よ、今回の手工芸の宿題のテーマは何だい?」
神城煌は少し気が進まない様子だったが、それでも答えた。「夢!」
神城連真はさらに尋ねた。「君の夢は何だい?」
神城煌は少し頭を上げ、真剣に考えてから答えた。「僕はデザイナーになりたいんだ、服飾デザイナーになって、世界で一番きれいな服をママのためにデザインしたいんだ!」
神城連真は心の中で息子を褒めずにはいられなかった。いい子だ!
「じゃあ、今日はパパが一緒にママのために特別なドレスをデザインしてみないか?絵を描く部分は煌に任せて、モデルは自分で描いて、服は一緒に作って絵に貼り付けるというのはどうだろう?」神城連真は詳しく説明した。
神城煌はしばらく考えてから、自分がなぜこんな良いアイデアを思いつかなかったのかと思い、すぐに興奮して頷いた。
しかし神城煌は突然疑問に思った。神城家には何でもあるが、どこからドレスを作るための材料を見つけてくるのだろう?
そのとき神城連真は息子の考えを読み取ったかのように、霧島咲姫がソファに置いていた箱を神城煌に手渡した。
「この素材はいいだろう?今日パパとママが会社に行ったとき、彼女はこれはいらないと言って、捨てるために持ち帰ったんだ!」神城連真は平然と嘘をついた。
神城煌は満足げに頷いた。
父子二人はこうして意見が一致し、忙しく作業を始めた。
霧島咲姫はこの時、部屋で守屋朝陽と仕事の話をしていた。
守屋朝陽は霧島咲姫の会社の現状について、いくつかの意見や提案を出した。
認めざるを得ないが、守屋朝陽はさすがビジネス界で長年戦ってきたベテランで、彼女の会社の問題を的確に指摘し、提案も的を射ていた。
霧島咲姫は突然守屋朝陽に感心した。
二人は1時間以上話し合い、霧島咲姫は守屋朝陽からもらったドレスを試してみようと考えた。明後日の夜は良い印象を残さなければならない。
部屋を出ると、父子が仲良く作業している光景が目に入った。
霧島咲姫は何故か心が温かくなった。
彼女はソファに近づき、ドレスが入っていた箱を手に取った。
あれ?なぜこんなに軽くなっている?
そのとき彼女の視線は神城煌と神城連真が忙しく作業している手元に落ちた。