しかし翌日、桐島忠は娘の桐島詩雲を連れて御礼に訪れた。
神城連真も追い返す理由もなく、二人を家に招き入れた。
霧島咲姫はまだ疲れた表情をしており、桐島詩雲は心苦しく感じていた。
「神城社長、奥様のご助力のおかげで娘の命が助かりました。神城奥様にどう感謝すればいいのか分かりません。つまらないものですが、どうぞお納めください」桐島忠は隙のない社交辞令を述べた。
神城連真も目が肥えていた。祖父が普段から骨董品や書画などを収集するのが好きで、幼い頃から自然と知識を身につけていた。
桐島忠は滋養のある贈り物の他に、貴重な書画も持参していた。
彼は心の中で冷ややかに嘲笑した。こんなものが、妻の命と引き換えになるとは、まったく価値がない。
霧島咲姫は気さくに応対し、互いに丁寧な言葉を交わし続けた。