霧島柚羽はようやく我に返り、すぐに頷いた。「うん!」
家族全員が喜びの涙を流した。
ただ神城連真だけは心に少しの悲しみが浮かんだ。もしも自分が健康でこの四人家族がずっとこのまま生活できたらどんなに良いだろう。しかし自分は毎日不安で、あとどれだけの時間が残されているのか分からない。
霧島咲姫はそこで数日前に桐島耀真に約束したことを思い出した。彼と林芳乃との縁談から抜け出す手助けをすると。
そこで彼女は携帯を取り出し、桐島耀真に電話をかけた。
桐島耀真は逆に彼女が裁判に勝ったことを祝福した。彼女はとても驚いた。自分の妹が罰金を科せられたのに、彼女を慰めに行かないのだろうか。
霧島咲姫は手短に電話を切り、すぐに前から連絡を取っていた人物と約束を取り付けた。
彼女は急いで神城連真たち三人に挨拶をすると、バッグを持って出かけた。
すぐに彼女は桐島耀真との約束のレストランに到着した。
桐島耀真はすでに正装で出席していた。
彼女が来るのを見て、立ち上がって迎えた。
「座って、遠慮しないで。後でひとり紹介するから!」霧島咲姫はさらりと言った。
約5分後、スーツを着た中年男性が歩いてきた。
霧島咲姫は今度は立ち上がって迎えた。「羽柴社長、お久しぶりです。前回の服、羽柴奥さんはお気に召しましたか?」
目の前の中年男性は羽柴添也と言い、妻を大切にすることで有名だった。
彼の顔にはすぐに笑みが浮かんだ。「とても気に入っていましたよ。これからの服は必ずあなたにオーダーすると言っていました!」
そこで霧島咲姫は続けて紹介した。「こちらが電話でお話した桐島さんです。桐島家は以前、西平で有名な不動産業者でした。こちらは羽柴さん、以前はルイスの常連客で、その後ご縁があって霧島結月と協力関係になりました。今日は私が橋渡し役として、皆さんのニーズを満たすお手伝いをします!」
目の前の二人の男性は握手を交わし、とても丁寧だった。
桐島耀真はすぐにウェイターを呼んでメニューを持ってきてもらい、羽柴社長に料理を選ばせようとした。数人がお互いに譲り合い、霧島咲姫が主導して西平の名物料理をいくつか注文した。
結局、羽柴添也は西平の人間ではなく、隣の都市の富豪だった。