一条景滔はこの言葉を聞いて、さらに怒りを募らせた。「何様のつもりで俺に説教してるんだ?お前の話なんか聞く必要があるのか?お前も神城連真も、ろくでなしばかりだ。お前らは俺を台無しにした!救世主のふりはやめろ!」
霧島咲姫はもう説得を諦めた。この男は既に狂っていて、これ以上話せば自分の死を早めるだけだ!
彼は目を赤くして、咲姫の襟をつかんだ。「もう一言でも言ったら、海に放り込んで魚の餌にしてやる!」
霧島咲姫は泳ぎが得意だったが、手を縛られて動けない状態では、海に投げ込まれれば死ぬしかない。
一条景滔は電源を入れると、すぐに神城連真から電話がかかってきた。
「お前は誰だ?なぜ私の妻を誘拐した?」神城連真は必死に恐怖を抑えていた。
一条景滔は突然、狂ったように笑い出した。「はははは、神城連真、お前もこんな日が来たな。最も大切なものを失う味を教えてやる!」
神城連真は全身が震えた。この男の声は、あまりにも見覚えがあった。しかし一条景滔は確かに刑務所に入ったはずだ。脱獄して復讐に来たのか?
考える余裕はなかった。今は相手に従うしかない。「一条景滔、お前はどこにいる?落ち着いてくれ。何が欲しい?何でも与えよう。咲姫を傷つけないでくれ。神城グループ全体でも譲る!」
一条景滔は突然興味を示した。「神城連真、お前は俺に頼んでいるのか?」
彼は唇を噛み、画面越しにこの男を殺したいほどだった。「ああ、頼む!」
一条景滔の目にようやく満足の色が浮かんだ。「神城連真、今や俺はお前の神城なんて欲しくない。俺が一番欲しいものが何か知っているか?お前が苦しむ姿だ。一生苦しみ続けるお前の姿だ。彼女の遺体を受け取る準備をしておけ!」
電話が切れ、神城連真は必死に先ほどの通話を思い出そうとした。
一条景滔の声は大きかったが、よく聞こえなかった。電話の向こうでは風の音も大きく、海鳥の鳴き声や波が岩に打ち付ける音も聞こえた。彼はようやく理解した。二人は今、海辺にいるのだ!
神城連真はすぐに警察と他の人たちを集めて海辺へ向かった。
警察署はこの事件を重視していた。誘拐されたのは神城連真の妻であり、神城連真は彼らが誰も敵に回せない人物だった。そのため、今回出動した警察官は全員銃を携帯していた。