二人はようやく人の通る道のそばまでたどり着いた。
この時、蒼井清安はもう完全に歩けなくなっていた。霧島咲姫はとても心配していた。結局、彼は自分の命の恩人だ。彼がいなければ、自分は今頃閻魔大王に会っていたかもしれない。
彼女は何度も手を振り、親切な人が二人を市街地まで送ってくれることを願った。
すぐに、神城連真の部下たちが二人を見つけた。
神城文弥は安堵の表情を浮かべ、すぐに部下たちと駆けつけた。もし霧島咲姫を見つけられなかったら、自分も含めてすべてのボディガードが終わりだった。
今回、神城連真は本当に心配していたのだ。
「奥様、やっと見つかりました!神城社長がどれだけ心配していたか分かりません!」神城文弥は焦りの表情を浮かべた。
彼はようやく霧島咲姫の隣にいる男性に気づいた。最近神城社長と協力している蒼井清安ではないか?
彼がなぜここにいるのか、見たところ、彼が霧島咲姫を救ったようだ。以前からこの男性に良い印象を持っていなかったが、このような事態で命を懸けて人を救うとは、神城文弥も敬服せざるを得なかった。
霧島咲姫は今、考える余裕がなかった。「文弥、彼を背負って、すぐに病院へ行きましょう!」
神城文弥はようやく我に返った。目の前の蒼井清安は顔色が真っ青で、腕には布が巻かれているが、それでも血が滲み出ていて、非常に恐ろしい光景だった。
彼はすぐに側にいたボディガードに蒼井清安を背負わせ、自分は神城連真に電話して無事を報告した。
「社長、奥様を見つけました。蒼井清安さんが奥様を救ったんです。今、蒼井さんはかなり重傷で、これから病院に向かいます!」神城文弥は早口で言った。
霧島咲姫は彼を睨みつけた。いつでも報告できるのに、なぜこんな時に?
人命が危ないのに、蒼井清安がこのまま出血し続けたら、明日の朝日を見ることができないかもしれない。
神城文弥は背筋が凍るような感覚を覚えた。この霧島咲姫が怒る時の威圧感は、まさに神城社長に匹敵するものだった。
すぐに車も到着した。
神城文弥は少しも油断せず、蒼井清安を慎重に後部座席に乗せた。
彼は助手席に座り、霧島咲姫は蒼井清安と一緒に後ろに座った。
運転手はとても速く走り、30分もしないうちに病院に到着した。