第138章 こんにちは、ベイビー11

スーパーから出てきて、鈴木音夢は荷物が少し重かったので、直接カートを使ってスーパーの外の広場まで押していった。

紅井さんの息子である木場俊樹は、高校に通っていて、鈴木音夢が荷物を持っているのを見ると、すぐに駆け寄ってきた。

「鈴木さん、手伝いますよ」

鈴木音夢は木場俊樹を見たとき、思わず鈴木世介のことを思い出した。「俊樹、ありがとう」

「いいえ、どういたしまして。今、赤ちゃんを身ごもっているんですから、気をつけないと」

木場俊樹は鈴木音夢のことが好きで、夜に時間があるときは、彼女に勉強を教えてもらっていた。

レストランの裏にある従業員寮に戻ると、紅井さんは自分の息子が戻ってきたのを見て、すぐに近づいてきた。「俊樹、お腹すいた?ちょうどキッチンにチキンスープを取っておいてもらったわよ」

「ママ、僕はお腹すいてないよ。鈴木さんに飲んでもらったら?」

鈴木音夢は手を振った。「俊樹、あなたが飲みなさい。今は成長期なんだから」

「もういいから、荷物を置いて、二人とも出ておいでよ。一緒に飲みましょう」

紅井さんは鈴木音夢が一人で身寄りもなく、しかもお腹が大きくなっていて、これからますます不便になり、できる仕事も少なくなっていくだろうと思った。

しかし、彼女に出て行ってほしいとは言い出せなかった。

鈴木音夢は少し居心地が悪く、自分がここにいて、しかも子供を身ごもっていることが、紅井さんに迷惑をかけていると感じていた。

外で暮らしていると、血のつながりも縁もなく、しかも小さなレストランで、収入もそれほど高くない。

彼女はできるだけ多くの仕事をこなし、給料も少なめに受け取るようにしていた。

日々はこうして過ぎていき、あっという間に春節が近づき、彼女のお腹もますます目立つようになってきた。

和風街では、春節の雰囲気をかすかに感じることができた。

この時期、鈴木音夢は心の中で卓田越彦と鈴木世介のことをより一層思い、彼らが今どうしているのか気になっていた。

鈴木音夢は外の通りには出ず、ただ窓辺に立って、外の花火を眺めていた。

シカゴの冬は本当に寒く、彼女は今、子供を身ごもっているので、風邪をひくと厄介だった。

冬が去り春が来て、氷と雪が溶け始め、外の裸の木々が芽吹き始めた。