女性は鈴木音夢を一瞥し、手には資料の束を持っていた。まさにこれから交渉が始まるところだった。
折悪しく、事前に手配していた通訳が突然来られなくなった。
「あなたでできるかしら?資料の翻訳だけでなく、この二日間はシカゴでお客様の観光にも付き添ってもらうわ。」
鈴木音夢はうなずいた。以前から彼女は卓田越彦のために文書の翻訳を手伝っていた。
ただ、専門的な用語に出くわすと、辞書を調べるか、直接卓田越彦に尋ねる必要があった。
「試させていただけますか?専門用語は辞書で調べる必要があるかもしれません。」
「いいわ、私はケリーよ。こっちに来て、まず翻訳を試してみて。うまくいけば、今夜は私と一緒にお客様をもてなすわ。」
鈴木音夢は心の中で大喜びした。彼女は良い仕事をすれば、報われると信じていた。