第348章 チビ、お前は俺のものだ1

平村さんは声を聞いても聞き取れず、仕方なく大きな声で携帯に向かって叫んだ。「旦那様、山への道が崩落して、私たちの車は山に上がれません。現在まだ若奥様を見つけられていません。」

二人は電話で暫く叫び合い、ようやくお互いの意味を理解した。

卓田越彦は電話を切り、深呼吸をして、自分を落ち着かせようと努めた。

だめだ、危険を冒してでも、山に入らなければならない。

卓田越彦は急いで電話をかけ、冷静に全ての捜索救助活動を指示した。

数回の電話の後、卓田越彦はヘリコプターが卓田家の屋敷に直接来るのを待った。

彼の心は、言いようのない不安でいっぱいだった。

山はあんなに暗く、こんな大雨が降っている。チビに何かあったら、どうすればいいのか？

そのとき、二階にいた杏子が突然悪夢を見た。

彼女は驚いて目を覚まし、一気に目が覚めて、靴も履かずに鈴木音夢の部屋に走った。

部屋の中は真っ暗で、人影も見えなかった。

杏子は怖くなった。「ママ...ママ...」

杏子は泣きながら出てきて、その声は聞いている人の心を引き裂くようだった。

卓田越彦は彼女の泣き声を聞いて、大股で階段を駆け上がった。

「杏子、パパはここだよ、杏子...」

杏子は泣きながら走ってきた。「パパ、ママはどこ？私、ママが川に落ちる夢を見たの、うぅ...ママ...」

卓田越彦は杏子の言葉を聞いて、眉をさらに深くしかめた。杏子の夢は本当なのか？チビは本当に何かあったのか？

卓田越彦は彼女を抱き上げ、涙を拭いてあげた。「杏子、怖くないよ、ただの夢だよ、本当じゃないよ。あとでおばあちゃんと一緒に寝て、パパがママを探してくるから、いい？」

「パパ、怖いよ、早くママを探して連れて帰って、私もパパと一緒にママを探しに行くよ、ママが欲しい...」

卓田正修と林柳美も声を聞いて、部屋から出てきた。

「杏子、どうしたの？」

杏子は卓田正修を見て、さらに激しく泣き始めた。「おじいちゃん、私、ママが川に落ちる夢を見たの、ママが欲しい...」

母娘の心は通じ合うもの、卓田正修も思わず緊張し始めた。「越彦、山からの知らせはあったか？」

「山で崩落があったんだ。私はこれからヘリコプターで直接行く。父さん、杏子をよろしく頼む。」

「何だって？崩落？」