第352章 チビ、お前は俺のものだ5

井上菜々は大変な苦労をして、ようやく水から這い上がった。

彼女は全身が震え、寒くなったり熱くなったりして、間違いなく熱を出していた。

周りを見回すと、みんな一緒に流されたはずなのに、他の人の姿が見えない。

空には明るい月が高く掛かり、彼女の目は物がぼやけて見えた。

井上菜々は痛みに耐えながら、夜明けまで頑張った。

この時になってようやく太ももがなぜこんなに痛いのかわかった。流されたときに木の枝に刺されたようだ。

ここで死んでしまうのだろうか?誰か助けに来てくれるのだろうか?

井上菜々は棒を一本見つけ、それを杖にして前に進んだ。

しばらく歩くと、白いものが彼女の目を引いた。

井上菜々はリンダがその時白いドレスを着ていたことをぼんやりと思い出した。もしかして彼女もここに流されてきたのだろうか?