第351章 チビ、お前は俺のものだ4

卓田越彦は杏子の言葉を思い出し、目の前の黄色い泥で濁った川を見つめながら、眉をひそめた。

「杏子、お母さんが他に何か言っていた夢を見た?」

昨晩のニュースを聞いた後、杏子は泣きながら悪夢を見たと言った。きっと音夢が杏子に夢で何かを伝えようとしているのだろう。

杏子は音夢にとって命そのものだった。

チビが一番離れたくない人は、間違いなく杏子だ。

「お母さんはずっとお父さんに早く助けに来てって言ってた。お父さん、見つかった?」

杏子は続けて二回悪夢を見た。どちらもお母さんが水に落ちる夢で、彼女はとても怖がっていた。

こんなことは、今まで一度も起きたことがなかった。

「いい子だね、お父さんは今探しているところだよ。おじいちゃんの言うことを聞いて、お父さんとお母さんが帰ってくるまで家でおとなしく待っていてくれる?」

チビちゃんはまだ熱があった。彼女は手術を終えたばかりで、体はまだ回復中だった。

熱が出て、合併症を引き起こしたら、本当に命取りになる。

「うん、お父さんがお母さんを見つけたらおじいちゃんに電話してね。私はお家でいい子にしてる。」

杏子は四歳を過ぎていた。彼女はテレビを見ていて、お母さんに何かあったことを知っていた。

杏子にとって、お母さんは空のように大きな存在で、誰もお母さんの場所を代わることはできなかった。

杏子は電話を切り、林柳美は彼女の額にもう一枚のタオルを当てた。

卓田正修は本当に油断できず、杏子に薬を与えることも恐れていた。

今、音夢がまだ見つかっていない状況で、杏子にこれ以上何かあってはならなかった。

今日掘り出された人々のうち、二人はすでに亡くなっていた。彼は杏子にニュースを見せる勇気がなかった。

卓田正修は谷口英樹に電話をかけた。先日、口谷さんは北海道にもう一度行くと言っていたが、何か手がかりを見つけたかどうかわからなかった。

彼が言うには、北海道の霊薬はとても神秘的で、もし何か霊薬があって、杏子に食べさせれば、体が健康になるなら、いくらお金がかかっても構わないと思っていた。

電話はしばらくしてようやく通じた。谷口英樹は飛行機を降りたばかりだった。

「卓田さん、タイミングよく電話してくれたね。今飛行機を降りたところだよ。」