卓田越彦は眉をひそめ、手を振って言った。「急いで病院に連れて行け。」
昨夜から土砂崩れの知らせを受けて以来、卓田越彦はすでに卓田風太に病院で救援隊を組織させ、いつでも支援できるよう準備させていた。
竜川と岩山は確実に鈴木音夢を守っているはずだが、緊急事態の中、彼らがどこに行ったのかは分からない。
そのとき、前方でまた一人が掘り出され、卓田越彦は大股で駆け寄った。
「すでに息絶えています...」
卓田越彦は「息絶えた」という言葉を聞き、心臓がねじれるように痛んだ。
彼は急に足を止め、これ以上前に進む勇気が出なかった。
古田静雄が駆け寄り、死者の顔の泥を払いのけ、振り返って卓田越彦を見た。「彼女たちではありません。」
古田静雄の言葉を聞いて、卓田越彦はひそかに息をのんだ。