第353章 チビ、お前は俺のものだ6

卓田風太も自ら医療チームを連れてきて、井上菜々を助け起こした。彼女の体は熱くて火照っていた。

しばらくして、ヘリコプターが到着し、古田静雄は林浅香を抱えてヘリコプターに乗せた。

その後、井上菜々もヘリコプターに乗せ、病院へと飛び立った。

奥さんはまだ見つかっておらず、卓田風太は小分隊を率いて、下流の捜索を続けた。

一夜が過ぎ、撮影クルーの人々だけでなく、山麓の村からも、逃げ遅れた村民たちが流されてきた。

ニュースでは死傷者数の報道が続いていたが、病院にいる杏子のいる部屋では、卓田正修がテレビをすべて消していた。

時間が経つにつれ、発見される人は増えていったが、死亡者数も増加していった。

鈴木音夢はずっと見つからず、卓田越彦はほとんど気が狂いそうになっていた。

昼間一日中が過ぎても、依然として鈴木音夢の行方は分からなかった。

竜川も行方不明で、丸一日経っても、二人とも見つからなかった。

岩山は下流で発見された。彼らも確かに一緒に流されたはずだ。

しかし、彼らは一体どこにいるのだろうか?

この状況では、時間が長引けば長引くほど、彼らにとって不利になる。

丸三日三晩、卓田越彦は一睡もしなかったが、それでも鈴木音夢の消息はなかった。

彼の目は血走っており、鈴木世介も二日間眠っていなかった。

誰も鈴木音夢がこのように行方不明になったとは信じられなかった。

三日後、統計によると、撮影クルーだけでも、まだ八人の行方が分からなかった。

川の水は徐々に引いていったが、人はどう探しても見つからなかった。

永崎城は海に近く、行方不明者は大水の時に海に流されてしまった可能性があると言う人もいた。

卓田礼奈はここ数日、病院で忙殺されていた。次々と重傷の患者が運ばれてきたからだ。

杏子は熱を出し、奥さんもまだ見つかっておらず、みんな心配で気が気ではなかった。

永崎城の豪雨は広く注目を集め、数日連続でニュースでは土石流の事件が報道されていた。

黒いブガッティ・ヴェイロンが橋をゆっくりと渡っていた。豊田祐助は手元の資料に目を通していた。

父親から玉の飾りの持ち主を調査するよう言われていたが、今日まで正確な資料は得られていなかった。

その玉の飾りは何人もの手を経て、ようやくオークション会場に辿り着いたものだった。