チビちゃんは気絶させられ、今目を覚ましたが四肢に力が入らない。「きっと悪いことをしたから、あなたの足を切られたんでしょ」
鈴木成典は言葉に詰まり、「おとなしくここにいなさい。後でおじさんの代わりに金を取りに行くんだ。心配しなくていい、あの人たちはお前を傷つけないよ。お父さんが金を持ってきて身代金を払えば、自然と解放されるさ」
鈴木成典は考えた。ここは山の麓に近いから、あの人たちがお金を持ってくる前に、卓田家の人たちに見つかるかもしれない。
「チビちゃん、行くよ」
杏子はお尻をついて座り込み、動く気も起きなかった。「歩く力がないよ」
鈴木成典は彼女の様子を見て、おそらく薬の効果がまだ切れていないのだろうと思い、仕方なく彼女を背負った。
チビちゃんは彼が山に登ろうとしているのを見て、深い山の中に行きたくなかった。
そうしたら、お父さんが彼女を探しに来ても、簡単には見つけられないだろう。
「あなた、電話して人を呼んで、ここで私を人身売買業者に売るんでしょ?」
彼女がいなくなれば、お母さんはきっと心配するし、お父さんはすぐに彼女を救いに来るはずだ。
「そんなことはお前の知ったことじゃない。黙っていろ」
鈴木成典はこのチビちゃんが100万円の価値があると考えていた。
そう思うと、チビちゃんを背負って歩いてきた道のりも、そんなに重く感じなかった。
あの人たちが来て、お金を手に入れさえすれば、あとは知らないふりをすればいい。
ピーターは人を連れてきたが、鈴木成典が言った場所に着いても、誰も見つからなかった。
くそっ、あいつはそんなに馬鹿じゃないだろう。もうすでに卓田家に捕まったのか?
道中、鈴木成典はチビちゃんを背負いながら、誰かに見つかることをひどく恐れていた。
最後に、鈴木成典は長い間放棄されていた小さな木造小屋を見つけた。おそらく以前は猟師が住んでいたのだろう。
彼はちらりと見て、蜘蛛の巣だらけで、長い間誰も来ていないことがわかった。
この場所は安全そうだったので、彼はチビちゃんを下ろした。
この時のチビちゃんは、睡眠薬の効果が徐々に消えていき、ずっと元気そうに見えた。
鈴木成典の携帯電話が再び鳴り、あの人たちからの電話だと見て、すぐに出た。
「小僧、お前、俺たちをだましてるのか?」