第477章 善人には天の加護あり2

杏子はうなずいた。「おじさん、あなた...お金はいらないの?借金返せないと足を切られるって言ってたじゃない?」

鈴木成典はもちろん欲しかった。「チビちゃん、外の連中を見てごらん。みんな銃を持ってるんだ。お金を手に入れても、使う命がない。今回は死ぬしかない。どっちにしても死ぬなら、お前のお父さんの手で死んだ方がまだ遺体くらいは残るかもしれない」

「そんなことないよ。パパに言うから、おじさんのことは責めないって」

「本当か?本当に俺のために頼んでくれるのか?」

「もちろん。卓田杏子の言うことは本当だよ。パパは私のこと一番可愛がってるもの」

チビちゃんがそう言うのを聞いて、鈴木成典は安心した。

彼は今日この小屋に来たとき、後ろの板が何枚か緩んでいることに気づいていた。

彼はためらいながら、辺りが徐々に暗くなってきているのを見た。

暗くなるのを利用して、山の木々や草むらが多いことも加わって、きっと逃げ切れるはずだ。

外では、ピーターがヘブンストライカーと電話で話していた。

あのチビちゃんを手元に置いておけば、卓田越彦が来ないわけがない。

茉莉は横に立ち、彼女の角度からは、後ろの板が動いているのがちょうど見えた。

しばらくすると、あのチビちゃんが後ろから這い出てきて、続いてあの愚かな鈴木成典も出てきた。

茉莉はまぶたを軽く動かした。今頃、卓田越彦はきっと玉石を持ってヘブンストライカーと取引しに来ているだろう。

彼らが取引を終えても、ヘブンストライカーのような変態的な行動をする人間は、本当にこのチビちゃんを解放するとは限らない。

茉莉は自分の頭がおかしくなったのかと思った。彼女はなぜかあのチビちゃんの安全を心配していた。

感情に流されることは、殺し屋として最もあってはならないことだ。

結局、茉莉は思わず別の場所に歩いていき、「バディ、向こうに行って水を汲んできて」と言った。

茉莉は彼の表情を見て、非常に不満そうに言った。「聞こえなかったのか?姉さんは水が飲みたいんだ」

「茉莉さん、怒らないでよ。今行くから」

バディは銃を持ち、茉莉の不満そうな顔を見た。

この女は絶対に怒らせてはいけない。彼女の笑顔が美しければ美しいほど、それだけ毒がある。

彼らは内緒で彼女のことを「美しき毒蛇」と呼んでいた。