卓田越彦は急いで彼女をベッドに運び、卓田風太を呼ばずに、直接谷口お爺さんを呼んだ。
風太はお爺さんの弟子だが、やはり谷口お爺さんの方が頼りになる。
30分後、谷口お爺さんの車が卓田家に到着した。
鈴木音夢はベッドに横たわり、顔色は紙のように白かった。
谷口英樹は彼女の脈を取り、卓田越彦の緊張した表情を見た。
「谷口さん、音夢は大丈夫でしょうか?前回の怪我で、何か問題があって検査で見つからなかったのでは?」
谷口英樹は彼女の手を布団の中に戻し、「心配いらない。彼女はただ体が弱りすぎて、気血両方が不足しているだけだ。生理中はより注意が必要だ。彼女は以前妊娠した時、産後のケアが十分でなく、体に影響が残っている。前回、卓田じじいが私の薬酒を2本盗んだだろう?今後は寝る前に小さな杯一杯飲むようにしなさい。きちんと調整しないと、将来また妊娠するのは簡単ではなくなる」
「この頃、音夢は漢方薬を飲んでいるので、その薬酒は飲んでいません。谷口さん、その薬酒は漢方薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?」
「私の薬酒はそれらの漢方薬と衝突しないから、飲んでも大丈夫だ。念のため、後で風太に来てもらって、彼女に輸血させよう。体調が整うまでは、妊娠は避けるべきだ。そうしないと彼女の体に良くない」
「わかりました」
本来、鈴木音夢の体はこれほど弱くなかったが、前回の土石流の時にあまりにも重傷を負ったのだ。
谷口お爺さんは音夢を診た後も帰らず、そのまま卓田家で卓田正修と将棋を指すことにした。
卓田正修はまだ心配で、どう考えても自分には一人息子しかおらず、嫁も一人だけだ。
卓田家には現在、杏子という一人の孫娘しかいない。彼はもちろん、もう一人孫息子を抱けることを望んでおり、将来卓田家の後継者となってほしいと思っていた。
「口谷さん、音夢の体は本当に大丈夫なのか?将来、卓田家に元気な男の子を産むことはできるのか?」
「安心しなさい。きちんと養生すれば、子供を産むのは問題ない。前回はほぼ回復していたのに、また事故に遭ってしまった。彼女はしっかり養生する必要がある。母娘二人とも、災難が多いね」
ここまで言って、谷口お爺さんも思わずため息をついた。
卓田正修は回復できると聞いて、内心ほっとした。