第503章 身世の秘密12

その薬酒の味はさほどでもなかったが、その漢方薬は特に香りが強く、そして特に変わっていた。

とにかく、鈴木音夢はこれほど不味いものを飲んだことがなかった。

彼女のような苦労に慣れた人でさえ、少し耐えられないほどだった。

何度も、彼女はほとんど吐き出しそうになった。

「ダーリン、良薬は口に苦し、中にある薬材のいくつかは、老人が大金を払って競り落としたものだよ。幸い彼は目が利くから、競り落としたものにはちゃんと価値があった。」

鈴木音夢は眉をひそめた。「あとどれくらい飲み続ければいいの?」

「だいたい一ヶ月、一ヶ月後に体調が良ければ、別の処方に変えよう。ダーリン、言うことを聞いて、体を養わなきゃ。」

子供を産むかどうかの話はさておき、彼はただ彼女が健康で、彼の側にいてほしいだけだった。

「わかったわ……」

その漢方薬は本当に飲みにくかったが、考えてみれば、中の薬材にはこれほどのお金がかかっているのだから、彼女も老人の気持ちを無駄にはできなかった。

このとき、使用人が食事を運んできた。

鈴木音夢は一目見て、すべて血を補う食べ物だとわかった。

卓田越彦は自ら彼女に食べさせ、一口一口と食べさせた。鈴木音夢はかなり食べた。

食事の後、鈴木音夢はベッドから降りようとしたが、卓田越彦に止められた。

彼は本当に彼女がまた気を失うのではないかと恐れていた。「ダーリン、ちゃんと休んで、私の言うことを聞いて。」

鈴木音夢はあきらめるしかなく、卓田越彦は使用人を呼んで片付けさせた。

彼が杏子の部屋の前を通ったとき、谷口書陽と杏子が部屋で遊んでいるのを見た。

その小僧は杏子にブロックの組み立て方を教えていて、なかなか様になっていた。

谷口書陽は卓田越彦を見ると、立ち上がって礼儀正しく挨拶した。「卓田おじさん……」

「パパ、書陽さんすごいね。」

卓田越彦は自分の娘が尊敬の眼差しを向けている様子を見て、ブロックを組み立てるだけで、どれほどすごいことがあるのかと思った。

しかし、娘がこんなに楽しそうに遊んでいるのを見て、卓田越彦も娘の気持ちを台無しにしたくなかった。

「続けて遊んでいいよ。」

「パパ、ママは良くなった?」

チビちゃんは遊んでいても、心の中ではずっとママのことを気にかけていた。