第382章 差別待遇

福井斗真は話しながら、マウスをスライドさせ、他の会社の情報を安藤凪に見せた。安藤凪はうなずいた。この会社の設立時期はS社より10年近く遅かったが、評価ではSグループよりもはるかに優れていた。

「今度こそ、私たちに威圧感を与えようとする人を派遣しないでほしいものね」安藤凪はため息をつきながら言った。福井斗真は自信に満ちた笑みを浮かべた。「安心して、この会社はそんなことしないよ」

「今回は我々の会社が彼らの会社にチャンスを与えているようなものだ。彼らはこの機会を掴みたくて仕方がないはずだ。君は知らないかもしれないが、我々の会社の輸出貿易の額と質は、たとえ二八の配分でも、Sグループを大儲けさせるほどだ。多くの人が羨んでいるんだ」

それなのにSグループはそれを大切にしなかった。

福井斗真は心の中で冷笑した。今回、Sグループに与えたチャンスを彼らが掴めなかったのなら、長年の情誼を無視したとは言えないだろう。

「どうあれ、その時は私も行くわ。今回、玄くんと高橋雅子が対応した時、とても上手く処理してくれたけど、やはり少し心配なの」

「大丈夫だよ、心配なら何度か様子を見に行けばいい。安藤玄が慣れてきたら、君も安心するだろう。ゆっくりでいいんだ」福井斗真はそう言いながら、自ら安藤凪の前に歩み寄り、彼女の鼻先を軽く摘んだ。

まさに、山が来なければ山に行くという言葉通りだ。

福井斗真はその後、まるで肌の飢餓症候群にかかったかのように、時には安藤凪の手を摘み、時には彼女の鼻を摘み、暇を持て余している様子を存分に表現した。最終的に安藤凪は耐えられなくなり、彼を押しのけて自分のオフィスに戻った。

これにより福井斗真は、安藤凪を自分のオフィスに誘い込み、一緒に仕事をするという決意をさらに固めた。

……

午後の退社時、高橋鐘一が良いニュースをもたらした。金田茂が故意傷害罪で逮捕されたというのだ。どれくらいの刑期になるかは、これから開かれる裁判を待たなければならない。

福井斗真が介入していたため、金田茂は短期間で出所することはできないが、それでも福井斗真はまだ不満だった。金田茂が安藤凪を傷つけるところだったと考えると、彼は自分の怒りを抑えられなかった。

最終的には高橋鐘一が丁重に諭した。