第407章 本業

広瀬さんはそう言いながら、高橋雅子に頻繁に目配せをして、自分を助けるよう促した。しかし今、雅子がしたいことは、自分が翻訳した書類を広瀬鈴音の顔に叩きつけることだった。

なんてこと、自分を無料の労働力として使うなんて。

「そうですか?でも間違いでなければ、翻訳部の業務量は一定の量に抑えられているはずで、絶対に仕事を完了できないということはないはずです。それなのに外部の助けを求めるというのは、あなたの能力に疑問を抱かざるを得ません」

安藤凪は広瀬鈴音が高橋雅子に翻訳を頼んだという点ではなく、広瀬鈴音自身の能力不足という点から切り込んだ。

案の定、彼女の言葉が終わらないうちに、広瀬鈴音の顔の笑顔は一瞬で凍りついた。安藤凪は口元に冷笑を浮かべ、「翻訳部の部長と、あなたたちの仕事の割り当てについてしっかり話し合う必要があると思います」と言った。