第620章 感染

「今日は饅頭ちゃんの予防接種の日だけど、帰ってこないの?」安藤凪は理解すると、校長たちの話題には触れず、話題を変えた。電話の向こうから低い笑い声が聞こえてきた。

「安心して、手元の仕事を片付けたらすぐに行くよ。あの小僧が予防接種で泣く写真は、将来彼が結婚する時に大スクリーンで流すつもりだからね。」

安藤凪は言葉に詰まり、思わず目を回した。

饅頭ちゃんにとって、こんな父親を持つのは本当に幸せなことだ。

ちょうどそのとき、小林おばさんが饅頭ちゃんを抱いて二階から降りてきた。饅頭ちゃんは赤いロンパースを着て、ぷっくりした頬がゆれ、黒ぶどうのような大きな目は輝いていて、あちこち見回していた。遠くから見ると、まるで年画の人形のようだった。

「もし私の息子の恥ずかしい写真を撮りに来るつもりなら、やめておいて。うちの子はとても可愛いから、泣いても可愛いわ」安藤凪は軽く鼻を鳴らした。