第615章 誰のせい

福井斗真は安藤凪のこの言い訳がどこかで聞いたことがあるような気がした。まるで自分が以前凪に言ったことのようだった。彼は凪が自分の言葉を学んで、自分に対して使うようになる日が来るとは思っていなかった。それに福井斗真は苦笑せざるを得なかった。

安藤凪は福井斗真が何も言わないのを見て、彼が承諾したくないのだと思った。

「あなたが私を行かせないなら、あなたも行かないで」

安藤凪はほとんど駄々をこねるように言った。

福井斗真は最終的に優しい口調で、「わかった、約束するよ。その時は一緒に行こう。だから今はもう遅いし、寝てもいいかな?」と言った。

福井斗真から肯定的な答えを得た安藤凪は、彼の言葉の中の罠に気づかなかった。彼女は嬉しそうに頷いた。福井斗真の目の奥に抑えられていた熱情が、この瞬間に隠すことなく爆発した。安藤凪が気づいた時にはもう遅かった。

福井斗真は安藤凪が頷いた瞬間、彼女を抱き上げた。突然の浮遊感に安藤凪は思わず驚きの声を上げ、両手で福井斗真の首に抱きついた。そして目まぐるしい動きの後、彼女が我に返った時には、福井斗真にベッドに押し付けられていた。

男の体は壁のようだった。安藤凪は試しに押してみたが、福井斗真は彼女の手を取り、唇に持っていってキスをした。「凪ちゃん、暗くなったよ、二人で休もう」

「斗真、今日はとても疲れたから、私たちはやっぱり…」安藤凪の言葉が終わる前に、福井斗真は頭を下げて彼女の唇を塞ぎ、彼女が言おうとしていた言葉を遮った。安藤凪の瞳孔が急に縮み、我を忘れた後、再び拒否する機会を失った。

福井斗真の舌が安藤凪の唇の中に入った。

彼の熱い指先が、上から下へと安藤凪の体に火をつけた。

安藤凪はゆっくりとその中に沈んでいき、一晩中沈んでいった。

……

翌日、安藤凪が目を覚ました時、全身が車に轢かれたような感じがした。彼女は腕を伸ばし、やっとのことで隣の携帯電話を掴み、すでに10時だと見て、急に体を起こした。しかし、力を入れすぎたため、疲れた体に痛みが走った。

彼女は驚きの声を上げ、片手で腰を押さえながら、歯を食いしばって呪った。「福井斗真、二度と会わないほうがいいわよ!」