第613章 決断

一方、藤原朝陽は車に乗るなり頭を下げて謝った。「おばさん、おじさん、ごめんなさい」

彼は何か悪いことをした子供のようだった。藤原夕子は手を伸ばし、慎重に兄の袖を引っ張り、それから無意識に安藤凪を見た。安藤凪と福井斗真は目を合わせ、彼女は軽くため息をついて、藤原朝陽に尋ねた。

「朝陽、あなたは私に謝っているけど、どこが悪かったと思う?」

安藤凪の問いかけに藤原朝陽は一瞬戸惑った。彼は顔を上げ、口を開きかけ、無意識に責任を自分に押し付けようとしたが、安藤凪の目に映る心配と励ましを見て、学校での安藤凪の言葉を思い出し、口に出かけた自責と反省の言葉を変えた。

「僕が...学校で嫌な思いをしたのに、おじさんとおばさんに言わなかったからです。これからは嫌なことがあったら、すぐに言います。心の中に溜め込みません」