「はい。」
オフィスに戻って。
上野卓夫はもう一度電話をかけ、帝都の人間に空港へ迎えに行くよう指示した。
もし誰かが秋田結を迎えに来ていたら、姿を現す必要はない。
ただ影から守るだけでいい。
秋田結と橋本智美子が保安検査を出ると、看板を持った人が近づいてきた。
礼儀正しく彼女たちに挨拶し、「秋田結さん、こんにちは。私の若旦那が迎えに来るよう言いつけました。」
「こんにちは。」
秋田結は3年前に帝都でこの男性に会ったことがあった。
湯川大助も彼に迎えに行くよう言ったと言っていた。
「若旦那は病院にいて、まず秋田さんたちをホテルにお送りするよう言いつけられました。正午までには、彼がホテルに向かうでしょう。」
車に乗り込むと、松本鳴は秋田結に告げた。
秋田結は自分が帝都に来た目的の一つを思い出した。