しかし遅れたものは遅れたまま、一日遅れただけで、彼女は社長室では新人になってしまう。
鈴木優子は心の中では納得がいかなかったが、顔には少しも出さず、甘く微笑みながら、段ボール箱を抱えて自分の席に向かった。
仁藤部長はさらに森川萤子と言葉を交わした。萤子は今や天皇のそばにいる執事おばさんのような存在で、片桐陽向のそばにいる寵臣だった。
仁藤部長でさえも森川萤子に対して三分の礼を尽くしていた。
仁藤部長が去ると、萤子は振り返って鈴木優子のデスクに歩み寄り、彼女が物を一つ一つ取り出して机の上に整理するのを見ていた。
「この間の部署ローテーション、大変だったでしょう?入社したときよりも痩せたように見えるわ」
鈴木優子が総務秘書になったことを、萤子は心の中でとても嬉しく思っていた。