康田麗子が受付を済ませて戻ってくると、太った医者はもう行ってしまっていた。彼女は森川萤子の隣に座った。
「さっきの医者、知り合い?」
森川萤子は首を振った。「知らない」
「でも、結構長く話してたから、知り合いかと思った。今は少しマシになった?」康田麗子は彼女の顔色が車の中にいた時ほど青白くなく、冷や汗も出ていないのを見て、少し安心した。
森川萤子:「うん、今はだいぶ良くなった。温かい水が飲みたい」
康田麗子は受付票と身分証を彼女の手に渡し、案内カウンターへ行って温かい水を一杯もらってきた。
森川萤子はそれを受け取り、半分ほど飲むと、氷のように冷たかった胃がやっと少し楽になった。
「行こう、医者に診てもらおう」康田麗子は森川萤子を支えて上の階へ向かった。
森川萤子は手を振って、「もう大丈夫だから、医者に診てもらう必要はない」と言った。