180 神頼みより自分を頼れ

森川萤子は片桐陽向の人柄を渡辺佳子に誤解されるのを恐れ、急いで説明した。「いいえ、私が無理な要求をしたんです。」

「どんな要求をしたの?」渡辺佳子は思った、森川萤子がどれほど空気が読めなくても、そんなに無理な要求はしないだろうと。

「……私は片桐社長に副社長のポストをくれと言ったんです。」森川萤子は冗談半分に言った。

「……」

渡辺佳子の顎が地面に落ちそうになった。彼女は先ほど考え違いをしていた。森川萤子は本当に図々しいなと。

一行は山頂に到着した。太陽は西に傾き、山々の間に掛かっていた。斜めに差し込む陽光は、正午の灼熱さはなかった。

縁結び神社の外には千年客迎えの松が植えられており、その枝には赤い絹布がたくさん結ばれていた。

木の下にはいくつかの屋台が出ており、目の見えない占い師や多くの商人がいた。