208 真相に限りなく近づく

森川萤子は着替えの服を一組簡単に用意し、ノートパソコンも背負った。

橋本月香は夜に接待があり、ちょうど一緒に出かけて、彼女を空港まで送ることになった。

白いフォルクスワーゲンの車内で、橋本月香は運転しながら森川萤子を見ていた。

「急に神戸市に行くことになったのは、前に国境に行ったのと同じ理由なの?」

森川萤子は拳を握りしめ、顔を向けて橋本月香を見た。

橋本月香の時間はほとんど仕事と上司に占められていたが、二人が一緒にいる時間は多くなくても、お互いの友情は少しも減ることはなかった。

「違うわ」

森川萤子が国境に行ったのは、突然森川千夏が自分の息子だと知り、途方に暮れて国境に行き、何か思い出して若松様の言葉に反論しようとしたからだった。

しかし、何も思い出せなかった。