230 俺の次兄はお前に興味がない

森川萤子は本を干したり布団を干したりするのは聞いたことがあるが、勲章を干すなんて聞いたことがなかった。しかも、わざわざ会社に持ってきて干すなんて。

この「干す」は別の意味なのだろうか?

森川萤子:「写真を撮ってSNSに投稿したら、きっと歴史に名を残せるわね。」

江川淮は勲章を磨きながら言った:「SNSには投稿できないよ、これらは全部社長の宝物なんだから。」

「宝物なのにこんなに適当に置いてあるの?」

森川萤子は以前、久保おじいさんがまだ生きていた頃のことを思い出した。彼は古い革命家で、戦争に参加し、砲火をくぐり抜け、血を流した人だった。

彼の書斎には一つの勲章があり、とても大切にしていて、孫の久保海人でさえ触らせなかった。

片桐陽向のこの大きな箱の勲章はこんなに適当に置かれていて、彼が大切にしている様子も見られない。

「社長は決してこれらを宝物とは思っていないんだ、僕と兄貴だけが大事にしているんだよ。」江川淮はそう言いながら、手にした勲章を森川萤子の前に掲げ、声を低くして言った、「森川秘書、この勲章がどうやって手に入れたか知ってる?」

森川萤子は英霊記念館で見たことはあったが、それぞれの勲章の由来を詳しく知っているわけではなかった。

ただ、この勲章は他のものとは何か特別に違うように感じた。

彼女は首を振った、「知らないわ。」

江川淮の目は輝いていて、こっそり彼女に耳打ちした、「教えてあげるよ、あの時社長はすごく危険な目に遭ったんだ。」

森川萤子は無意識に執務机の方を見たが、片桐陽向の視線と鉢合わせてしまった。

彼女の心は小鹿が突いたようにドキドキし、居心地悪そうに視線をそらした。

「どのくらい危険だったの?」

「社長は秘密任務に出たんだ、僕たちは全く知らされていなかった。社長は一人で国境にある国際犯罪組織を壊滅させたんだ。でもその任務は非常に困難で、彼はほとんど死にかけたんだよ。」

森川萤子の心臓はドキドキと鼓動した、「片桐社長が壊滅させたその国際犯罪組織の名前は何で、場所はどこなの?」

江川淮は口を開きかけたが、最後には首を振った、「森川秘書、それは言えないんだ、部隊の規則があるから。」

森川萤子は何となく落胆した、「大丈夫よ、組織の規律だもの、わかるわ。」