第18章 黒田さんの過分なお褒めの言葉に感謝します(1)

空間の配色は三色を超えてはならない、これはすべてのプロのデザイナーが入門時に警告されることだ。

西村绘里がここから手をつけた理由は二つある。

まず、この問題は最も基本的なもので、もし間違えれば厳しく罰せられるべきだ。次に、西村绘里は矢崎凌空がデザイン図を見るときに、デザインのサンプルだけに注目し、隅にある配色に注意を払わないと確信していた。案の定、彼女は罠にはまった。

西村绘里は唇の端をかすかに上げ、顔を曇らせ激怒している矢崎凌空の様子を見ながら、さらに言葉を続けた。

「黒田グループでは明確に規定されていますよね、デザイナーは盗作や手抜きの見本を提出してはいけないと。課長、あなたは長く働いているから、仕事に麻痺して、手を抜くのも人情というものでしょうが...課長、黒田社長に謝れば、この件は過ぎ去るかもしれませんよ。結局のところ、あなたは課長で、黒田グループでしばらく働いているのですから。」

「あなた...黒田社長...私...」

矢崎凌空は西村绘里が手抜きの見本という罪名を自分の頭上に押し付けてくるとは思わず、再び表情を変えた。

表面上は西村绘里が自分に明るい道を示しているように見えるが、実際には別の深淵に自分を突き落としているのだ。

自分は黒田グループで長年働き、古株の立場を利用して、仕事を手抜きしていた!

この罪名が自分の頭上に冠せられれば、百の口があっても弁解できない。

西村绘里は唇を軽く噛み、堂々と目を上げて目の前の男性を見た。

もし黒田真一が矢崎凌空を甘やかすなら、黒田グループの明文化された規則は形骸化していることになる。黒田グループがこれほど多くの年月、仙台で巨大な勢力を持っているのは、黒田真一の迅速かつ厳格な対応のおかげだ。

黒田真一は西村绘里の言葉を聞き、薄い唇がかすかに上がり、端正な顔に余計な表情はなく、視線は西村绘里の白い小さな顔に固定され、その意図は不明瞭だった。

矢崎凌空は歯を食いしばった。今となっては、責任を西村绘里に押し付けるしかない。

「黒田社長、実は、このデザイン図は西村绘里が作ったもので、私とは何の関係もありません。」

この言葉を聞いて、黒田真一は長身を西村绘里に向けて歩み寄り、目の前の女性を見下ろし、薄い唇を引き締めた。

「西村绘里、このデザイン図はあなたが作ったのですか?」