西村絵里は、藤原海翔が自分に三色スミレを送ったことについて、実は申し訳なく思っていた。
なぜなら、黒田真一によって直接捨てられてしまったからだ。
男性の笑みを含んだ目元に気づくと、周りではすでに藤原海翔の身分を認識した人々が、指をさして話し始めていた。西村絵里は思わず尋ねた。「どうしてここに?」
「うちの絵里ちゃんを迎えに来たんだよ。昨夜は、俺の心も体も君にあげたからな。」
藤原海翔の黒い瞳は真剣そのもので、子供のような魅力的な輝きを放っていた。西村絵里は胸がどきりとした。
実際には、二人はただゲームをしていただけなのに、藤原海翔はわざとそんな曖昧な言い方をする。
西村絵里はしばし言葉に詰まり、三色スミレのことを説明しようとしたが、黒田真一の忠告を思い出し、また幼稚園では甘奈が自分を待って下校し家に帰るのを待っていることを思い出した。