第33章 間接キス(2)

「今はちょっとお腹が空いているんだ、西村绘里、構わないかな」

そう言うと、黒田真一は西村绘里の前にあるお弁当箱を意味ありげに見つめた。

西村绘里:「……」

構う。

とても構う。

西村绘里は内心で「まずい」と思い、男性が大きな手を伸ばしてくるのを見て、急いで小さな手で自分のお弁当箱を押さえ、死守した。

「黒田社長、私は一人分しか持ってきていませんし、この質素な食事はあなたが普段召し上がる精緻な料理に比べられるものではありません。お口に合わないと思います」

黒田真一は口元を少し上げ、その後、大きな手を西村绘里の小さな指の上に置いた。

「大丈夫、私は気にしない」

西村绘里:「……」

手の甲には男性の熱い手のひらが触れ、その熱さに西村绘里はドキッとして、素早く自分の小さな手を引っ込めた。