第146章 夫婦の情趣求首訂(18)

西村絵里:「……」

西村絵里は香坂悠生が突然興奮し、顔色が少し青ざめ、黒田真一に二人が引っ張り合っているのを見られて、多少居心地が悪かった。

香坂悠生、実は彼は本当に自分のことを全く理解していなかった。西村絵里は心が少し冷え、冷めていた。

「香坂悠生、あの時私は無一文で、父の西村安国は刑務所に入っていて、数年の刑か、もしかしたら無期懲役になるかもしれなかった……母は行方不明で、私にどうしろというの?あなたのお母さんのお金を受け取るという選択肢は選ばなかった。愛を侮辱したくなかったし、自分自身も侮辱したくなかった」

「私と黒田真一の結婚については、お互いに必要なものを得ただけ。もっと重要なのは、私が利用したのは自分自身だということ、違う?誰でも道徳的な高みから私を非難する資格があるけど、あなただけはダメ」

西村絵里は鋭い目を細め、冷たく鋭かった。誰でもいい……ただ香坂悠生だけはダメ!あの頃のことは、山口琴子が自分の息子を守ろうとしていたことを考慮して、少し我慢していたし、母子が対立するのを見たくなかった。

今となっては……すべてが明らかになった今、もう隠すことは何もない。

香坂悠生:「……」

誰でもいいが、自分だけはダメ。香坂悠生の口元には苦笑いが浮かび、黒い瞳は湿っていた。

「絵里、ごめん、そういう意味じゃなかった……ただもう一度チャンスが欲しかっただけ、もう一度一緒になりたかった。本当に愛してる、君なしでは生きていけない」

「ごめんなさい、もう遅いわ。私は夫と仕事に行かなきゃならないの。香坂悠生、私はあなたの義姉よ。次は、自重してね」

言い終わると、西村絵里は断固として香坂悠生の大きな手から自分の小さな手を引き抜いた。自分は誰にも借りはない。あえて言うなら、甘奈に健康な体を与えられなかっただけだ。そう思うと、西村絵里はすぐに振り返って外へ向かった。

……

別荘の外:

黒田真一は西村絵里の華奢な体が一歩一歩自分に向かって歩いてくるのを見て、薄い唇を引き締めた。柔らかな女性でありながら、強さを感じさせる。こんな女性は……確かに魅力的だ。ただ多少表裏があるだけだ。

黒田真一は目を細めた……しかしそれでも、彼女の心を手に入れたいという気持ちは少しも変わっていなかった。