西村絵里はずっと浴室でもたもたしていて、黒田真一が電話をしていないことを確認してから、やっと気まずそうに浴室から出てきた。
黒田真一が何を話しているのか聞き取れなかったが、彼の機嫌がとても良いことは明らかだった。
電話の向こうの女性は、黒田真一の口元を上向きにさせ、気分も明るくさせることができた。
どうやら……
女友達なのだろう。
西村絵里は口角を歪め、女友達がいるのに、自分を手放さないなんて。
男はみんな同じ、手元の料理を食べながら、鍋の中の料理を見ている。
黒田真一のような男性に出会ったら、最も重要なのは自分の心を守ることだ。さもないと……
矢崎凌空のように過激になってしまう。
……
黒田真一は浴室から音がするのを聞いて振り返ると、西村絵里がやや落ち着かない様子で立っているのが見えた。
西村絵里の濡れた髪が肩に散らばり、藤原家が用意したパジャマを着ていた。綿素材で、全体的に保守的で、セクシーなタイプではなかった。
しかし、なぜか黒田真一は西村絵里がセクシーな雰囲気を醸し出していると感じた。
細長い黒い瞳が少し細められ、艶やかな光が閃き、西村絵里を見る瞳も異常に熱くなった。
美人が湯上がり、白い肌はお風呂上がりで赤らんでおり、さくらんぼのようで、思わず前に出て軽く噛みたくなるような魅力があった。
「お風呂終わりました」
西村絵里は口角に微笑みを浮かべ、続けて静かに言った。「もう遅いので、先に寝ます」
言い終わると、西村絵里は急いでベッドに向かい、自分の体をしっかりと包み込み、まるで黒田真一から身を守るように警戒していた。
黒田真一:「……」
黒田真一は西村絵里が濡れたままベッドに向かうのを見て、薄い唇を引き締めた。
「ちょっと待って、髪が乾いていない、処理しなさい」
西村絵里は黒田真一が自分に向かって歩いてくるのを見て、驚いてよろめき、急いで姿勢を正した。
「自分でできますから……黒田社長、あなたは身だしなみに気をつけるべきだと言いませんでしたか?服を着た方が…着た方がいいんじゃないですか?」
黒田真一は西村絵里が素早くベッドから降り、浴室のハンガーから服を取って自分に渡し、再び浴室に向かうのを見た。
「黒田社長、服を着終わったら呼んでください」
黒田真一:「……」
実は裸で寝るなんて……