西村絵里はずっと浴室でもたもたしていて、黒田真一が電話をしていないことを確認してから、やっと気まずそうに浴室から出てきた。
黒田真一が何を話しているのか聞き取れなかったが、彼の機嫌がとても良いことは明らかだった。
電話の向こうの女性は、黒田真一の口元を上向きにさせ、気分も明るくさせることができた。
どうやら……
女友達なのだろう。
西村絵里は口角を歪め、女友達がいるのに、自分を手放さないなんて。
男はみんな同じ、手元の料理を食べながら、鍋の中の料理を見ている。
黒田真一のような男性に出会ったら、最も重要なのは自分の心を守ることだ。さもないと……
矢崎凌空のように過激になってしまう。
……
黒田真一は浴室から音がするのを聞いて振り返ると、西村絵里がやや落ち着かない様子で立っているのが見えた。