第272章 腹部の帝王切開の傷跡1更(4)

結局、あの時は、自分と甘奈の二人だけが頼りにしあって生きていた。

病院の看護師たちは驚いていた。てっきり誰かに付き添われて出産に来たと思っていたのに、実は...最初から最後まで、自分一人だけで、家族は誰一人いなかったのだ。

……

西村绘里が過去を思い出していた時、黒田真一の大きな手があの場所に触れたため、彼女の回想は突然途切れ、体が強張った。

黒田真一はすぐに女性の異変に気づき、再び眉を寄せ、薄い唇をゆっくりと彼女の柔らかな唇から離し、視線を下に向けた。

目に入ってきたのは、女性の白磁のような肌の上にある、ムカデのような傷跡だった。

黒田真一は眉を寄せた。

この醜い傷跡は、多かれ少なかれ、西村绘里の腹部全体の美しさを損なっていた。

「これは以前、虫垂炎の手術をした時に残ったものです」