「だめ、もう少し抱きしめていて欲しいの」
「うん」
最初、西村絵里は不安でいっぱいだった。黒田真一に抱かれたまま温泉の中央にいて、男が獣のようなことをするのではないかと恐れていた。
しかし、ボタンを外すところまでしておきながら、その後何も進展がなかったということは、黒田真一は今日本当に違っていたのだ。
そのため、西村絵里の不安な気持ちはゆっくりと落ち着いていった。
「そういえば、絵里、さっきお前を抱かなかったのは...水中では思うように動けないからだ。それに...お前は水が怖いから、きっと俺に何の反応も返せないだろう。俺たちの初めてがそんな不愉快なものになるのは望んでいない」
西村絵里は元々黒田真一に少し好感を抱き始めていたが、彼のこの言葉で、心の中で激しく血を吐きそうになった。