第271章 腹部の帝王切開の傷跡1更(3)

「だめ、もう少し抱きしめていて欲しいの」

「うん」

最初、西村絵里は不安でいっぱいだった。黒田真一に抱かれたまま温泉の中央にいて、男が獣のようなことをするのではないかと恐れていた。

しかし、ボタンを外すところまでしておきながら、その後何も進展がなかったということは、黒田真一は今日本当に違っていたのだ。

そのため、西村絵里の不安な気持ちはゆっくりと落ち着いていった。

「そういえば、絵里、さっきお前を抱かなかったのは...水中では思うように動けないからだ。それに...お前は水が怖いから、きっと俺に何の反応も返せないだろう。俺たちの初めてがそんな不愉快なものになるのは望んでいない」

西村絵里は元々黒田真一に少し好感を抱き始めていたが、彼のこの言葉で、心の中で激しく血を吐きそうになった。

本当に手を上げて、男の顔を思い切り平手打ちしたいほどだった。

くそ...自分はさっきまで目が眩んでいたのか、黒田真一がまだ悪くないと思っていたなんて。

黒田真一は深く鋭い黒い瞳で目の前の西村絵里を見つめ、薄い唇がかすかに上がった。

「うん、食べられなくても、味見くらいはできる」

言い終わると、黒田真一はすぐに片手を空けて西村絵里の後頭部をつかみ、彼女の小さな頭を自分の方へ引き寄せた。

西村絵里は美しい瞳を見開き、その後自分の唇に冷たいものを感じた。それは男の極めて冷たい唇だった。

西村絵里は美しい瞳をきらめかせ、抵抗しようとしたが、男の強引な力に抑えられ、どうすることもできず、ただ顔を上げるしかなかった。

「んっ」

自分の体の周りには温かい液体と、男のキスがあった。

西村絵里はすぐに頭がくらくらしてきた...

黒田真一は西村絵里が自分に身を寄せてくるのを非常に楽しんでいた。

男というものは、女性が甘えて撫でられ、自分に依存することを好むものだ。

しかし、西村絵里はそのような女性では決してなかった。

黒田真一も西村絵里の無力な姿をほとんど見たことがなかった。

こんな女性は...

小さなハリネズミのようで、いつも全身にトゲを立て、いつでもどこでも人を刺す準備ができている。

実際には、内心では極めて安心感が欠けているのだ。

うん、西村絵里と親しくなり、接触するほど、彼女が絶えず放つ独特の魅力を発見し、自分を深く引き付け、やめられなくなっていく。