第274章 腹部の帝王切開の傷跡1更(6)

ちょうど膝丈のスカートで、西村絵里の体のラインにとても似合っていた。淡い紫色は、常に神秘的で妖艶な雰囲気を醸し出し、西村絵里の気質にぴったりだった。

このワンピースは、初めて見たときから西村絵里の雰囲気に合うと思い、人を遣わして買っておいたのだ。案の定、役に立つ時が来た。

黒田真一の視線は思わず膝から下へと移り、西村絵里の白く繊細な脚を見つめた。それは非常に魅惑的だった。

彼はつい先ほど、その長い脚が自分の腰に巻き付いていた時の、あの息をのむような感覚を思い出さずにはいられなかった。

西村絵里の美しさは、磨けば磨くほど輝くものだった。

西村絵里は黒田真一に見つめられて背筋がゾクゾクし、口元に微笑みを浮かべながら尋ねた。

「黒田社長、そろそろ行ってもいいですか？」

「ああ」

黒田真一は率先して大きな手を伸ばし、西村絵里の小さな手を握り、廊下の出口へと向かった。

「どこで食事する？青空ビルでいいか？」

「実は…私たち、それぞれの家に帰って食べるのもいいと思うんですが…」

「つまり、各自が各自の家にということです」

黒田真一は眉を寄せた。最初は西村絵里が臨海別荘に戻って自分のために料理を作ってくれると提案するのかと思ったが、それは期待外れだった。

黒田真一は少し考えてから言った。「じゃあ、青空ビルに行こう。以前、あそこの家庭料理が好きだったんじゃないか？味わってみるといい」

西村絵里：「……」

確かに好きだったけど、黒田真一はどうしてそれを知っているのだろう？

西村絵里の美しい瞳に困惑の色が過ぎった。黒田真一がそれ以上話したくない様子を見て、彼女は黒田真一の大きな手に自分の小さな手を握られるままに、駐車場へと向かった。

西村絵里と黒田真一が温泉から出ると、すぐにマネージャーが熱心に出迎えた。

西村絵里は口元を引きつらせた。マネージャーのあまりにもへつらう様子を見ると、黒田真一はめったにここに来ないのだろう。

だから、マネージャーは彼を見て驚いたのだ。

……

マネージャーが恭しく黒田真一と挨拶を交わしている間に、夜の時間を黒田真一に取られてしまったため、西村絵里は仕方なく、藤原海翔にメッセージを送った。

藤原三郎、今夜は黒田真一に夕食に付き合わされるから、甘奈をよろしくね。

甘奈を他の人に任せるのは不安だった。