思いがけず、こんなに早く話が終わるとは。
西村絵里は口元に微笑みを浮かべ、自ら切り出した。「もう行ってもいいですか」
「ああ、車に乗ろう」
「はい」
すでに誰かが黒田真一のキャデラックを持ってきており、黒田真一は運転席に座り、西村絵里は急いで助手席に座った。
優雅に車を走らせる男性を見ながら、西村絵里は唇を引き締めた。
空はすでに暗くなっていた。思いがけず、自分と黒田真一がゴルフ場で丸一日午後を過ごしていたなんて。
重要なのは……
二人が温泉室内でもかなり長く過ごしたことだ。
温泉プールで起きたことを思い出すと。
西村絵里はますます顔を赤らめた。
黒田真一は黒い瞳で時折、隣の西村絵里を見つめ、口元の笑みを深めた。
……
西村絵里と黒田真一が青空ビルに到着したとき、ちょうど食事の繁忙期だったが、黒田真一が財布からゴールドカードを出すと、すぐに最高級の個室に案内された。