第275章 腹部の帝王切開の傷跡1更(7)

思いがけず、こんなに早く話が終わるとは。

西村絵里は口元に微笑みを浮かべ、自ら切り出した。「もう行ってもいいですか」

「ああ、車に乗ろう」

「はい」

すでに誰かが黒田真一のキャデラックを持ってきており、黒田真一は運転席に座り、西村絵里は急いで助手席に座った。

優雅に車を走らせる男性を見ながら、西村絵里は唇を引き締めた。

空はすでに暗くなっていた。思いがけず、自分と黒田真一がゴルフ場で丸一日午後を過ごしていたなんて。

重要なのは……

二人が温泉室内でもかなり長く過ごしたことだ。

温泉プールで起きたことを思い出すと。

西村絵里はますます顔を赤らめた。

黒田真一は黒い瞳で時折、隣の西村絵里を見つめ、口元の笑みを深めた。

……

西村絵里と黒田真一が青空ビルに到着したとき、ちょうど食事の繁忙期だったが、黒田真一が財布からゴールドカードを出すと、すぐに最高級の個室に案内された。

西村絵里は唇を引き締め、豪華絢爛な内装デザインを見つめた。

確かに、4年前とは雲泥の差がある。

あの頃、家族三人でここに食事に来たときは。

本当に素晴らしい思い出がたくさんあった。

「何が食べたい?君が注文してくれ。ここの料理は私の口に合わないんだ。知っての通り、今は君の作る料理しか好きじゃない」

西村絵里:「……」

男性の黒い瞳に青空ビルの料理への嫌悪感を見て取り、西村絵里は口角をピクリと動かした。

これは五つ星ホテルの料理なのに。

黒田真一が嫌うなんて。

彼は……

本当にツンデレすぎる。

西村絵里も遠慮せず、無料でご馳走になるなら、食べないと損だ。

それにゴルフ場でプレーするのは確かに体力を消耗する。

西村絵里は今、腕がひどく痛むのを感じていた。

「黒田社長、注文しました」

「うん」

西村絵里が注文したものを、黒田真一は簡単に一瞥した後、すぐに料理を運ぶよう手配した。

西村絵里は携帯が一度振動したのに気づき、開いてみると藤原海翔からのメッセージだった。

どこで食事してる?

西村絵里は素早く返信した。

青空ビル。

うん、甘奈を連れていくよ。トイレに行く隙に、出てきて甘奈ちゃんと少し食事してあげて。

西村絵里:「……」

それはいい方法かもしれない。

そうするのは確かに危険度が高いけれど。