第277章 腹部の帝王切開の傷跡1更(9)

黒田真一は食べる量がさらに少なくなった。

食欲がない、そう、西村绘里が作る美味しい料理がないからだ。

西村绘里は藤原海翔から送られてきたメッセージを受け取った後、視線を携帯から離し、自ら口を開いた。

「黒田社長、ちょっとトイレに行ってきます。」

「ああ。」

黒田真一はさらりと返事をし、西村绘里の表情に少し異変を感じ、眉を少し寄せた。

「黒田社長、ごゆっくりどうぞ。」

そう言うと、西村绘里は口元に明るい笑みを浮かべ、興奮した様子で携帯を手に取り、入口へ向かって歩き出した。藤原海翔が教えてくれた個室番号に従って、藤原海翔と甘奈の姿を探した。

……

同じ階の216号室。

西村绘里がドアを開けると、藤原海翔の腕の中で甘奈が戯れている温かくて可愛らしい光景が目に入った。西村绘里は思わず口元が緩んだ。

「藤原おじさん、私のサイン入り写真を取っちゃダメだよ、早く返して、それはおじさんが私にくれたものだよ、どうして子供からおもちゃを奪うの?」

甘奈は正義感あふれる口調で、藤原海翔の行為を非難した。

藤原海翔は妬ましそうに言った。「サイン入り写真くらいいいだろう、甘奈ちゃん、欲しいなら、今度山ほど持ってきてやるよ。」

西村绘里:「……」

藤原海翔は本当にわがままだ。

でも、その言葉は明らかに嫉妬しているようだった。

藤原海翔も大したことないのに、サイン入り写真一枚で甘奈に嫉妬するなんて。

「藤原おじさん、これは私たちのボーイのサイン入り写真だよ、普通の写真じゃないの……へへ、早く返してよ。」

藤原海翔はまだ妬ましくてたまらない様子だった。その名前も知らないおじさんが、このサイン入り写真と数箱のお菓子だけで甘奈の心を買ってしまったのだ。

この甘奈は毎日自分の耳元でそのおじさんのことばかり話している。

藤原海翔はもともと意地っ張りな人で……

それを聞いていると、当然妬ましく感じるものだ。

「甘奈、今度、遊園地を一つ買ってあげようか?」

藤原海翔が子供を悪い方向に導きそうな気配を察知し、西村绘里は唇を引き締め、咳払いをして言った。「藤原三郎……うちの甘奈を悪い方向に導かないで。」

「ママ。」