第307章 お前は俺、黒田真一の妻だ2更(10)

「お前に手配させたんだ、コンサート後に、ボーイが貴賓室で待っている、全部準備できたか?」

「ご安心を……黒田社長、すべて準備万端です。」

「うむ。」

黒田真一は目を細め、甘奈にサプライズを用意しようとしていた……

……

黒田真一が会社にいない金曜日、西村絵里の気分は上々で、手元のデザイン図をすぐに仕上げた。

昼食に黒田真一の分を用意する必要がなかったので、西村絵里は直接社員食堂で食べ、食欲も絶好調だった。

夕方、幼稚園に甘奈を迎えに行くと、小さな女の子がもぐもぐと口を動かし、少し不機嫌そうにしていた。西村絵里は申し訳なさそうに小さな女の子を抱きしめた。

「もう、ママは昨日間違ったことをしたって分かってるわ、お姫様と一緒にいられなくて。でもね、ママは明日一日中お姫様と家で過ごせるし、それだけじゃなくて、明後日の夜はお姫様とコンサートに行くのよ。」

西村絵里の声は柔らかく、甘奈は実は怒ったふりをしていただけで、西村絵里がそう言うのを聞いて、嬉しそうに口を開いた。

「本当?」

「もちろんよ……」

「うん、すごく嬉しい!明後日にはおじさんに会えるんだね、だってあのおじさんが約束してくれたもの、私とコンサートに行くって。」

西村絵里は口元を引きつらせ、甘奈の言葉を聞いて、自ら尋ねた。「じゃあ、おじさんに会えるから嬉しいの?それともコンサートに行けるから嬉しいの?」

「うーん……実はおじさんに会えるからだよ。私、あのおじさんのこと本当に好きなの。すごくかっこいいし、超クールだし。」

西村絵里は心の中で、甘奈が言う「おじさん」にますます興味を持ち始めていた。

西村絵里は口元を少し曲げ、優しく言った。「はぁ……うちの甘奈ちゃんはもう私のことじゃなくて、おじさんが好きなのね。」

「うん、ママ、安心して。その時は紹介するからね、おじさんはママの彼氏になれるよ……私とおじさんで話し合ったの。」

西村絵里は口元を曲げ、小さな女の子の無邪気な様子を見て、しゃがみ込んで彼女の頬にキスをした。

「うん……全部甘奈の言う通りにするわ。」

「やった……藤原おじさんも一緒に行くって約束してくれたの。あぁ…素敵、私たち仙台市ボーイファンクラブのメンバーが全員集合ね……」

西村絵里:「……」

急に感じたのは……

自分だけが余計な存在だということだった。