第353章 ママ、パパに身を任せて1更(6)

黒田真一:「……」

なるほど、わかった。

黒田真一は甘奈のように、口元をかすかに上げた。

「なかなかいいね」

西村絵里:「……」

この父娘、明らかに演技が下手すぎる。

西村絵里は口角を引き、不機嫌そうに言った。「もういいから、二人とも目を閉じて寝なさい」

「うーん、パパ、ママ怒っちゃった……」

甘奈は黒田真一の耳元に小声で囁いた。

黒田真一は唇を引き締め、面白そうに言った。「甘奈、パパは1分以内にママを笑わせることができるよ……信じる?」

「ほんと?」

甘奈はじっくり考えてから、やはり迷いながら首を振り、幼い声で言った。

「ちょっと難しいかも、ママはすごくクールだもん」

「簡単さ……」

言い終わると、黒田真一は目の前の西村絵里をじっと見つめ、薄い唇をかすかに上げた。

「絵里、前回あなたが契約した氷川様のデザイン案件……一つにつき3000円のインセンティブで、合計2万4千円のボーナスになるよ……」