第353章 ママ、パパに身を任せて1更(6)

黒田真一:「……」

なるほど、わかった。

黒田真一は甘奈のように、口元をかすかに上げた。

「なかなかいいね」

西村絵里:「……」

この父娘、明らかに演技が下手すぎる。

西村絵里は口角を引き、不機嫌そうに言った。「もういいから、二人とも目を閉じて寝なさい」

「うーん、パパ、ママ怒っちゃった……」

甘奈は黒田真一の耳元に小声で囁いた。

黒田真一は唇を引き締め、面白そうに言った。「甘奈、パパは1分以内にママを笑わせることができるよ……信じる?」

「ほんと?」

甘奈はじっくり考えてから、やはり迷いながら首を振り、幼い声で言った。

「ちょっと難しいかも、ママはすごくクールだもん」

「簡単さ……」

言い終わると、黒田真一は目の前の西村絵里をじっと見つめ、薄い唇をかすかに上げた。

「絵里、前回あなたが契約した氷川様のデザイン案件……一つにつき3000円のインセンティブで、合計2万4千円のボーナスになるよ……」

西村絵里:「……」

西村絵里も最初は黒田真一の言葉を疑っていたが、ボーナスを増やすという話を聞いて、顔に喜びが隠せなかった。

「本当?」

甘奈:「……」

ママ、嬉しそう……

「もちろん」

黒田真一はゆっくりと目を細め、確かに2万4千円だが、黒田グループの実際の支払いは月単位で考慮し、合理的に支払うようにして、一度に大量の昇給をしないようにするつもりだった。

西村絵里:「……」

すごく嬉しい。

'

西村絵里は笑った。

甘奈は小さな唇を尖らせ、思わず褒めた。「パパ、本当にすごいね、やっぱりママのことよく知ってるんだね。一瞬でママを笑わせちゃった。私には何を話してたのかわからないけど」

黒田真一は薄い唇をかすかに上げ、深い眼差しを西村絵里に向け、静かに言った。

「パパはママのことをよく知ってるんだよ」

「パパ最高!パパが一番かっこいい!」

西村絵里は黒田真一の腕の中で花が咲いたように笑う甘奈を見て、あきらめたように口角を上げた。

さすが黒田真一だ……

元々1万円のボーナスだと思っていたのが2万4千円になったと考えると、西村絵里はワクワクが止まらなかった。